Works

Statement

鏡のシリーズについて。
私は楽園をテーマに鏡を使って絵画作品を作っています。
イマジネーションの世界と現実の世界、2次元と3次元、物質と非物質、生と死、それらの間、境界について考えています。
「楽園」というものはどこにもなく誰も見たことが無いはずのに、誰もが知っている風景で、人の頭の中だけにある究極のイメージといえるのではないでしょうか。 
鏡によって楽園を描く事により、見る者は絵の世界の中に入り込み、想像上の世界と現実の世界は交差します。
描かれた絵の中と描かれていない絵の外、見る者と見られる物、過去の記憶と現在、それらは反転し、理想と現実は一つになり、新しい未来を生み出します。

2010年 船井美佐

「Hole/桃源郷/境界/絵画/眼底」2010年
VOCA 現代絵画の展望~新しい波~ 上野の森美術館 展示風景

これまでの作品について

私の作品は素材や表現方法が様々な形をとっていますが、角度を変えながら表しているのは同じ一つの世界感です。
テーマとなっている問題には3つの柱があります。
1、絵画と空間に対する興味、考察。
2、有機的形態がつらなるイメージ。増殖する生命体。
3、東洋の伝統文化と現代性のあたらしい融合と昇華。
それら3つは関係しあって作品を形成しています。

 現実とイマジネーション、過去と現在、人工と自然、3次元と2次元。
あちらとこちらの境界をつなぐこと。

2009年 船井美佐
 

2007年 国際芸術センター青森「裏糸」での制作風景

私は人工物や理性できれいに覆われた現代の中で、忘れられた「生き物である自分自身」との間に新しいユートピアを産み出します。生が希薄なのは死が希薄だから。生と死は性と関係している。忘れていても理性とは関係なく体の内側では原始の運動が繰り返されている。増えるためだけにすべての生物は存在している。生き物達の必然から生まれた美しいフォルムは法則を持ち、共有され反転して等価になり一つの輪になる。その中に身を任せ、夢の中に誘いこんで浮遊したい。現実との境界線を曖昧にして、そのイメージの中に入り込んでしまいたい。どこまでが絵画でどこまでが空想でどこまでが物質でどこまでが現実なのか。絵画は一枚の薄い紙だけれどその奥に広がる世界は人の限りない原始の精神とつながっている。

2007年 船井美佐


過去の作品


“楽園/境界/肖像画” 2017 ステンレスミラー GINZASIX /東京 パブリックアート