「Hole/桃源郷/境界/絵画/眼底」
2010年voca展出品作品 サイズ:円部分直径1974mm 壁面2500×4000mm 素材:鏡、ランバーコア

 

この作品は「楽園」を描いた「風景画」です。
鏡を使って描かれることによって虚像の「絵画」そのものを象徴しています。
鏡は3次元の物質のままでありながら、2次元の図を表すようにカットされて描かれています。
面や線によるミニマライズされた表現は、私の育った地域(日本)の古来からの特徴的な表現様式であると同時に、2次元性を強調します。
2次元のシルエットによって見えてくる絵画空間と、鏡そのものの物質性の間を、鑑賞者は行き来します。
さらに、鏡の平坦な面には現実の3次元の風景が映りこみ、物質と非物質、現実と虚像が2重に錯綜します。

「楽園」は誰もが知っているのに、誰も見たことがない、どこにもない共有の風景。
究極の風景画であり、人類に共有する生命体としての希望のイメージではないでしょうか。

「絵画」とは、現実とイメージや、身体の外側と内側など、あちらとこちらを行き来する穴のようなもの、境界そのものではないかと思います。
そして、現実が人工的な楽園になってしまっているような現代社会に生きる私たちですが、それでも人はイメージの交感を(絵画を)希求する。
見る事とは何なのか、絵画とは、イメージとは一体何なのかを問う作品です。